ユングといえば錬金術ってことなんですが・・・実は、勝手に思い込んでいたことが、ちょっと違っていたようです。
錬金術の情景としてなぜか私は、ここのメッセージでも書いているように磁器製の坩堝に鉱石をすりつぶし、高温の炎で溶かせてトロリトロリとかき混ぜる・・・などという冶金実験のようなイメージを抱いていました。 エリアーデが『鍛冶師と錬金術師』とかいう本で、“火と鉱物をあつかう古代民俗の鍛冶師は「大地の子(金属)を育成(錬成)する聖なる役職」であり、ここに錬金術師の起源を見る・・・”などと書いているらしいということもあり益々このイメージを固めていたのですが・・・ 実は西洋の錬金術はもっと穏やかで気長なもののようですね。で、私が思っていたイメージはむしろ中国の錬金術(錬丹術)に近いのかも・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ★西洋の錬金術 ・ガラスの器(ペリカン)を使う。中身、プロセスが見える。 ・まず水に溶かしてエキスを抽出。次に緩やかな熱を加えてさらに抽出。 ★中国の錬金術(錬丹術) ・レンガ、鉄、陶器等の器で7の倍数日間、火にかける。中身が見えない。 ・最後にできるものが「丹」・・・飲むと不老長寿。 ・心がけが悪いと丹ができずに容器が割れる。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 両者を対比するとこんな感じのようなのですが・・・ 西洋の方は今で言うビーカーやフラスコを使った化学実験のようでもあり、緩やかな熱を長時間かける点では鳥が卵を温めてじっくり孵化の瞬間を待つインキュベーションといった感じもします。ガラス越しに変化のプロセスが見えているって言うのも心理学を重ねてみる際のポイントなのかもしれません。 対して中国の練丹術は激しい。行う人の心がけが悪いと容器が割れるとは・・・ところで運がよければできるとされる「丹」。色としては赤。西洋の錬金術が最終的に目指す状態が「赤、金色」の状態であることと似ています。もっとも「丹」には今で言う重金属がたっぷり含まれていて、不老長寿をと思って飲むとおそらく死んでしまう。とすると・・・死ぬことによって永遠の生命を得るということなのでしょうか??(2005.2.10)
by c_mann3
| 2007-10-12 00:00
| ユングのすそ野の 風景
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