フロムの見たユングといったことを書きながら、感じ始めた雑感なのですが・・・
ユングは心を取り巻く森羅万象を語りつくす。・・・ですが、良いとか、悪いとか、ねばならないとか、目指すとか・・・、もしかしたらユングにはそういった意図的なものは一切ないのかもしれない。・・・・突然そんな感じがし始めました。 自我が無意識を取り込む・・・それは、“人にはそういうことが起こりうる、その結果、進む人もあれば崩壊する人もいる”という人の心の現象を語っているだけで、だからお勧めとか、やめておけとか、あるいは自分自身が目指しているとか、避けているとかには言及しない。 人間は生得的に自己実現に向かう欲求と動機を持っており、それに向かって人間性を伸ばしていく存在であり、また目指すべきと明言する「第三勢力」や「発達論」の人たちとはやっぱり別物のようです。 東に行けば不思議な心理空間を持った人の住む国、東洋がある。天を仰げば神様が居て宗教があり、そこに人が寄りかかっている。何れも同じ遺伝子を持った人間、だとするとわれわれもそうした心の世界に迷い込むことはありうる、現に心の中にはそうしたものの素が潜んでいる。・・・ と語っているからといってユング自身が東洋にあこがれているとか、宗教を信仰しているといったわけではない。そうした心理の現象がありうるといっているだけで、その是非についてはフロムと違って興味はない。錬金術に至ってはなおさらでしょう。 現象を淡々と語り、それへの価値判断には引きずられない。これは考えてみればごく自然な科学者の態度。 なのに、そういうユングを宗教的とかオカルト的とか、自己実現を求める求道者とか思い込むのは読み手側の勝手な感情嫌悪とか感情移入なのかもしれない。 YAHOOのユングコーナーに及び腰ながらもメッセージを入れ始めたころの私は貧弱な知識に勝手な思い入れを織り交ぜたユング像をいだいてのスタートでしたが、s1208さんに導かれて書き込みを続けるうちに、ユングへの理解を深めることは、それにしがみつき、自分を合理化しやすく解釈する自分をユングから引き剥がすことと同義であると思うようになりました。 フロムの記事を書きながらさらにこうした思いが強くなりました。ですがたとえこんなことを書いてはみても、フラッと入った本屋では「自己実現と救いの心理学」といった副題のついたユングの本が並び、人をひきつけていることも確かなのですが・・・(2005.2.26)
by c_mann3
| 2007-02-16 00:00
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