前掲の小柴先生の「科学を五感で味わう」ということに関連しそうな雑感です。
“愛読書はもっぱら新聞の書評欄”なんてことを言うと、じっくり本を読み込んでおられる方からはヒンシュクを買うのかもしれませんが・・・ 2003/7/20付け、朝日新聞の“「磁力と重力の発見」山本義隆著、みすず書房刊”の書評はなかなかのものでした。この本の副題は“現代科学は魔法直系の末裔だった!” ・・・端折りながら、何ヶ所か引用しますと・・・ --------------------------------------- >多くの人は、昔の人たちは迷信深い非科学的な連中だと思っている。その非科学的な部分、魔法だの錬金術だのを切り捨てることで現代科学が成立したのだ、と。 >だが、科学は魔法を切り捨てたのではない。むしろ科学は魔法の直系なのだ。極端に言えば万有引力というニュートン力学の根幹こそ、魔法の最大の遺産。 >太陽も、りんごも、あなたもぼくも、みんな「万有引力」とやらで結ばれている、だって?合理的な機械論者たちはそんなキモチワルイものは認めなかった。 >一方、ニュートンは魔法も錬金術も研究していた。だからこそ「万有引力」という異様な概念を平気で導入できた。 >物理は一つの世界観で、各種の数式はその世界での因果律の表現・・・ハリーポッターに夢中になっている子供に本書を見せて教えてやろう。魔法の世界は今君の目の前にあるんだよ、と。 ----------------------------------------- 考えてみますと魔法や錬金術の世界から生まれた物理法則なら、それを血となり肉となるほどに身に着けるには、ロジカルにのみ理解していたのでは無理なのかも・・・ 心の奥深く、無意識の世界に根を張るまで吸収しようとすると、ロジカルなままの状態では、無意識の入り口で拒絶反応が起きてしまう。ロジカルなものにどろどろしたメンタルなものをコーティングし、融合させなければ無意識の世界には沈み込んでいかない。 せっかく身につけた知識もロジカルなままでは計算で展開できるところまでしか発展できないが、無意識の世界に根を張った知識はいざ活用しようとするとき、本来の知識だけでなく、それにまつわるいろんなものを無意識の世界から引っさげてくみ上げることとなり、時として思わぬ発展が期待できなくもない。 硬っくるしいだけのロジカルな知識が、無意識の中に潜む英知をくみ上げるポンプの役目を果たす・・・なんてことを書いているとまたしても“▼能動夢(能動的想像)と創造性”なんて話しに飛び火しそうなのでこの辺で・・・ おっと、肝心なことを書いておかねば・・・この書評の評者は山形浩生さん。なんでもこの本の著者が元東大全共闘議長だったとかで、研究者の道を歩めず、予備校で気合の入った物理の授業をしていたらしく、山形さんはそこで感銘を受けた教え子とのことです。そういえば林道義さんも東大でブント派全学連の常任中央執行委員だったとか・・・闘士なお随所で健在、ということでしょうか。(2005.3.1)
by c_mann3
| 2012-12-12 00:00
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