◇物語 ウクライナの歴史

【H27/6月読】 題して「物語 ウクライナの歴史」、黒川祐次著、中公新書1655、2002年刊。クリミアをもぎ取られ、今も東部ではロシアとの確執が続いているウクライナ、それは一体どんな国なのかということで手にした本なのですが・・・

この国はかつてはロシア(モスクワ)、ベラルーシをも包含し広大な版図を有していたルーシ公国を源に持ち、首都キエフを中心に栄えたヨーロッパの大国であった。ところがその版図の北部のモスクワ公国がルーシ(つまりロシア)の名を持って独立し、さらにはベラルーシもルーシの名を持って独立・・・。で、残された地はやむなくキエフ・ルーシー国と呼ばれるようになり、その後はモンゴルに侵攻され、さらにはリトアニア・ポーランド、ロシア、オーストリア帝国、そしてソ連邦へと、(途中コサックの栄光の時代を挟みはするが)その時代時代に勢力を持った近隣の大国に飲み込まれ続けた。

だがそうして国としての輪郭を持てなかった時代にあっても常に、豊かな大地、資源、技術力を背景に重要な地であり続けてアイデンティティを保ってきたのがウクライナ。そして迎えたソ連邦崩壊で一挙にヨーロッパの大国として躍り出た今、芸術、科学技術、軍事技術等においてソ連邦の栄光と思われていたものが実はウクライナの業績であったというものも少なくない。
だからこそロシアとの関係はぎくしゃくするということなのかもしれませんが、ウクライナからしてみればもとはと言えばロシアに対してはこちらが本家筋、ロシアから見れば勝手に飛び出したかつてのソ連邦構成共和国との思いもあるとすると、両国の軋轢は根が深いのではとの感じもします。

なおこの本自体は黒海北方の大地の、スキタイ人が闊歩していた紀元前7~8世紀ごろから始まり現代に至る壮大な通史なのですが、なんと外務省の外交官であった著者が、たまたまウクライナへの赴任命令が出たことがきっかけで、日ごろなじみのないこの地を理解してもらえればとまとめ上げたとのこと。そのエネルギーに感動するとともに、こんな外交官がもっといてくれたら我々の国際理解ももっと進むのではなどと、ふと・・・
by C_MANN3 | 2016-01-14 00:00 |  ・・・風にまかせて・・・ | Comments(0)
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