◆その島のひとたちは、ひとの話をきかない H29/2読
その地は海辺や山あいの小さな町とか島だったりするのですが、なぜか自殺の少ないその地は何処も事前に期待していた癒しの空間ではなかった。ただ特徴らしきものは浮かび上がってきたと・・・ 人間関係は(緊密過ぎると交流範囲が狭くなり排他性が生じやすいためか)意外に密ではない。だが疎にして広く、いわゆる緩やかな紐帯で結ばれている。 目の前で困っていると必ず、即助ける。しかも相手の要請の有無にはかかわらず、自分の気持ちからできることをする。できないことがあっても手は引かず誰かにつないで相談し、かつ解決を見るまで関わり続ける。その際上手くいかなくても何かのせいにして終わらせず、相談や工夫で事に当たることに長けている。 助けはしても見返りは求めていない。助けっぱなし、助けられっぱなしで世間は回っていく。だから助けられることに負い目は無く、“病は市(いち)に出せ”とばかりに自然に弱音を口にする。 老いて痴呆が始まったり、障がいがあったりしても(やもうえず施設を利用したとはしても)人間関係としては隔離せず、そうした人たちのペースに合わせて寄り添い続ける。 この本ではこんな話が含蓄のあるフレーズと共に全編にちりばめられているのですが、今は都会に住む私などが読んでいると、遠い昔の記憶がうっすらとよみがえってくるような、そして環境は違っても今の自分の生き方にも参考になるものが多いような気がし始める、なんとも味わい深い一冊です。 著者は国内の自殺希少地域のみならず、45か国もの世界中を旅をしていて、日本の自殺希少地域の様子が、最近日本でも紹介され始めたフィンランドのオープンダイアローグの世界にも見事に重なっているとも・・・ http://www.huffingtonpost.jp/2016/09/04/morikawa-suimei1_n_11862926.html http://www.huffingtonpost.jp/2016/09/05/morikawa-suimei2_n_11867888.html
by C_MANN3
| 2009-01-22 00:00
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