◆組織と情報:バーチャル「三現主義」

組織と情報。まずは情報の発信源の確度、第一線や現場で状況をいかにして情報に変換するか・・・
もしここがもっと安定したものであれば、ここまでITが発達した現在、いろいろな会社でよく言われる「三現主義」もまた違ったものになるはずだったのかもしれません。

現場、現実、現物を重視する「三現主義」の思想は、広くいろんな企業で社訓に近い扱いを受けるほどに普及しています。現場の職場改善、品質管理等と相まってこの思想が日本の製造現場の品質向上に与えた影響はきわめて大きいといえます。

しかし普及するにつれ本来の思想とはかけ離れて意味合いも広く解釈されるようになり、管理職も第一線に出て指揮を取るべきとか、会議も代理ではなく直接出席すべきとか・・・やたらワイワイガヤガヤの会議や出張が増える要因となっている面も否めません。

迅速、正確な判断を行うためには現実問題として出張、会議の増加もやもうえない面もありますが、組織論の視点で考えるとこれは変な話です。

組織の階層ネットワークは本来、情報の集約化ネットワークでもあるはずで、現場、現物を前にした第一線のひとが情報を適切に要約して後方に飛ばし、中間過程でそれをひずませずにさらに後方に伝達するなら縦一列が一斉に第一線に張り付く必要はないはず・・・従来の組織はそれを前提にピラミッドを組んでいたはずでした。

なのに三現主義が必要とされる背景には、この情報の臨場感を含めた要約化と伝達がうまく機能しないことが原因のひとつではなかったかと思います。

こうした中でIT革命の時代をむかえ、組織は情報システムに多額の投資をし、第一線の情報が直接広範囲に一斉に伝達される時代となりました。
階層を経て堅苦しく情報が伝達されていた時代に比べると圧倒的に早く、しかも中間過程で情報がなまることもなくなりました。情報の形態もテキストだけでなく静止画、動画と多彩になり、一見臨場感を損なわずに時間と空間を飛び越えた情報伝達が可能な時代になった感じがします。
だとするとこれで三現主義はバーチャル三現主義が可能な時代となり、出張、会議を最少にできる時代となりうるのでしょうか。

こんなことを考えていくと、どうも最後に残るのが第一線で情報をインプットする人の感性となりそうです。
現場、現物、現実を前にして、何をトップニュースにし、それをどういうフレーズの文章にするか、写真ならどういう構図を選ぶか・・・それでニュアンスは大きく変わる。そこがうまくいかないとITを導入し出張、会議を減らしても現場、現物、現実が見えるバーチャル三現主義の時代はこない・・・・そんな感じがしています。(2005.6.5)
by c_mann3 | 2008-12-18 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)
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