【2019.4.5】 ここしばらくは連日のように九州エリアのソーラーの抑制が続いています。昨年の10月、始まった当初は抑制は当面は特定の季節の土日程度で収まるのではと思っていたのですが・・・春を迎えた三月に入って以降は予想とは異なり、土日の枠を超えて平日にも頻繁に抑制が続いています。 昨年の4月、5月にはエリア需要に対するソーラー比率が80%近くになっても受け入れられていたはずなのにこの一年で一体いかなる状態変化が起こっているのか。その様子が気になり、公開されているエリアの1時間ごとのデータをもとに分析してみました。 ▼まずは抑制のひっ迫度を指標化 先ず毎日のソーラー最大点におけるエリア需要、火力、水力発電、揚水動力への回避等の各データを使って抑制せざるを得なくなるひっ迫度をいくつかの指数にしてみました。 ・ひっ迫度A=ソーラーの最大点値/(その時点のエリア需要) ・ひっ迫度B=ソーラーの最大点値/(エリア需要から原発、バイオ等の絞れない ものを除いたもの) ・ひっ迫度C=ソーラーの最大点値/(エリア需要から絞れないものを除き、それに 揚水回避、エリア外への退避を加えたもの) ひっ迫度Aは最も基本的な指標ですが、実際は原発、バイオ発電等、ソーラーが増えても絞れないものがあるため、それを減じたもので除したのがひっ迫度Bであり、原発が稼働し始めるとこの指標は急増します。ですがこの指標が100%を越えてもそれで抑制に至るわけではなく、揚水動力、エリア外への送電でひっ迫度を減じることができるため、それを加味して指標化したものがひっ迫度Cです。 ▼ひっ迫度指標による分析の結果 その上で実際に抑制が行われた日のABCの指標値を突き合わせてみると、実際に抑制が実施された日にはひっ迫度Cの値が70%近くまで上がっていることが判明しました。そこで今回は68%を越えた日を抑制予測日として月ごとに集計すると、実際の抑制実施日数とほぼ合致する結果となりました。 以上の結果を指標値の推移と共に各月の抑制日数とともにグラフにすると下図のようになりました。各指標は各月の平均をプロットしたものであり、例えばひっ迫度Cは雨の日も曇りの日も含めた平均であるため、この平均値が40%を越えたあたりから抑制日が増え始めます。 その上でこの図を見ると、ひっ迫度Cが特に2018年度の後半あたりから大きくなっており、対前年比でみると20ポイントもの上昇を示しています。この変化は、併せて図示している原発の稼働台数増大と、図示はしていませんがソーラー自体が前年比15%程度増加し、逆にエリア需要は5%程度低下していること等が重なって表れたものと思われます。 ▼これを使っての3~6月の予測 ひっ迫度Cの指標で抑制日数がほぼ見通せることが判明したため、3~6月の予測をしてみました。なおその際に使う1時間ごとのエリアデータには前年同月のデータをもとに、エリア需要、ソーラー発電量を前年同期比で修正したもの使っています。こうして得られた予測結果ではグラフの右上端に表形式で記載しているように向こう3ヶ月の抑制日数が4月に20日間、5月が13日間、6月で6日間となりました。 以上はラフな試算結果であり、実際の抑制日数がこの試算よりも低く推移するならば、それに越したことはないのですが、まずはこの試算結果を手元に置きながら、ソーラー抑制の山場であるゴールデンウイークの推移を見守りだと思います。
◆【2019.7.1追記を更新】 抑制日数予測の結果検証 ▼5月度は予測が13日に対して10日にとどまり、続く6月も予測が6日に対して抑制日はゼロで終了ました。 詳しくは、玄海3号原発が当初の想定よりも1か月早い5/13に定期点検に入った日を境に、それ以降は連日続いていた抑制がぴたりと止まり抑制無しの状態が続いています。 5/13以降には晴天雨天の頻度等での特異な形跡もないため、この変化は“出力絞りのきかない原発の稼働基数がソーラーの出力抑制に強く影響する”ことを裏付けているものと考えてよさそうです。
by C_MANN3
| 2023-10-19 04:05
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