◆赤ちゃんの言語野・・・《続》

(2006/10/26記) 前掲の記事を書いて以来、ずっと赤ちゃんの言語野については気になっていたのですが・・・先日放映されたNHKスペシャル「あかちゃん、成長の不思議な道のり」を見て納得度が一歩前進しました。
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20061022

前回の日立の技術誌ではイタリアの研究機関との共同研究による成果の紹介でしたが、今回は信州大学での話。前回と同じく母国語(今回は日本語)とそのテープの逆回しで比較すると結果は同じで母国語にのみ反応。ところが今回はさらに韓国語の母音識別の実験が追加され、なんと赤ちゃんはそれもバッチリ識別している模様・・・
どうやら生まれたばかりの赤ちゃんは母国語かどうかではなく、自然な言語なら何語によらず反応しているということのようです。

あわせて紹介されていたのですが・・・突然現れたなじみがある無し二人の人の顔に対する反応を調査した英国の実験では、赤ちゃんは大人と同じように初めて見る顔に強く反応するだけでなく、二匹のお猿さんの顔を見せても初めて見る顔には強く反応。対しておとなは、サルに対しては所詮サルということで、新顔もなじみの顔も識別できない。

ですが、こうした赤ちゃんの驚異的な識別能力は生後数ヶ月で急速に失われ、大人と同じような能力に退化していきます。

解説によると・・・生まれたばかりでこれから何語をしゃべり、どの人の庇護の下に生きていくのかが定かでない時点ではどう転んでもいいように広範囲な情報に反応し吸収していく。だがやがて親が特定され言語が決まってくると今度は一転、選択と集中の情報収集に転換。それまで念のために過剰に集めた情報(シナプスの結合)をどんどん廃却し始める。
プラスマイナスの結果として赤ちゃんのシナプスの量は生後8ヵ月あたりで生涯のピークを迎えた後、減少に転ずるということだとか。

光トポグラフィーの怪しげな帽子をつけさせられて無邪気にはしゃいでいるとしか見えない赤ちゃんが、実は脳内でとんでもない生存戦略を実行しているということのようです。
この戦略は様子のわからない市場に新規参入するときは全方位に向けて資源を分散させるが、やがて分かってくると選択と集中などと称してなりふりかまわぬリストラで資源効率を上げて一挙に勝負に出る企業の戦略と同じじゃないか・・・などと思ってしまいます。

そういえば個人のレベルでも、初めての土地に引っ越した当初は八方美人で周りの様子を窺い、気心の知れた仲間ができると逆に八方美人はよく思われないと仲間内第一主義にふるまいだす・・・なんて風景をよく見かけますよね。

どうやら社会や企業の構図に似たものが個人の生き様にも、そして人の脳のメカニズムにもある・・・まるでフラクタル図形を見ているような風景ですが・・・同じ構図がいろいろな場面で現れるのは、それを生み出すのが人間で、その人の脳の中にある原図がどんどん外界に向かって転写されるからなのかも・・・などと妄想を掻き立ててくれる赤ちゃんの不思議な脳の話でした。(2006.10.26)
by c_mann3 | 2012-04-10 00:00 | クオリアとか進化論など | Comments(0)
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