◆会社は誰のために・・・《続》

会社は誰のために・・・その方向性を示す一つとして「社会貢献形企業」ということが言われているようです。営利重視の株主貢献形企業が主力の米国に対して、社会貢献形企業は欧州に多く見られるとか。

ところが究極の社会貢献形企業がヨーロッパではなく、アジアのバングラデシュにある・・・

今年のノーベル平和賞がなんとバングラデシュのグラミン銀行とその創設者ムハメド・ユヌス氏に決定。ユヌス氏は1976年にグラミン銀行を創設。女性など社会的弱者に無担保で資金融資をしながら起業の支援を実施し、バングラデシュの貧困撲滅に貢献したことが受賞理由とのことです。


この銀行は儲けた利益を社会に還元するタイプの社会貢献形企業とは異質。社会救済そのものを事業にしてしまう。
実は無担保融資とはいっても5人の連帯保証で金利は20%。今日本で問題になっている利息制限法の上限と同じ。それでも業者に機械や原材料を高値で押し付けられ悪循環から抜けられなかった人達が、この融資で一人、また一人と起業していく。融資対象は500万人にのぼり、その回収率は95%を超えるとか・・・
これだけ社会救済をしながらもグラミン銀行は超近代的な本社ビルを構え、続いて狙う事業は携帯電話の貸し出し。ITの普及促進で貧困層の情報格差を一挙に解消するのだと・・・

社会貧困に立ち向かうのは革命家か政治家の仕事と相場が決まっていたはずなのですが・・・民間の企業がそれを成功させる。日本でもかつてはそうした時代がありました。

農村の田植えや稲刈りの重労働から人々を解放したのは農村改革の活動家ではなく農業機械メーカ。毎日の山のような洗濯の重労働から女性を開放したのはウーマンリブではなく家電メーカ。水道理論とかいって家電製品を湯水のごとく普及させた松下、流通革命であまねく全国の家庭に廉価な生活必需品提供したダイエー・・・どれも補助金事業でもなければ国営企業でもない。

最近は企業の目的は営利にあるとか、株主への貢献とかいった議論ばかりが目立ちますが・・・それ以前のもっと大事な何かが置き去りにされつつある・・・今回のノーベル平和賞はそうした日本への警鐘と思えなくも無いですよね。(2006.11.18)

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(2007.4.16追記)今日の日経新聞夕刊にムハメド・ユヌス氏のインタビュー記事が出ていました。そこに出てきた数字が上述のものとは微妙に異なりますので、念のため追記しておきます。

⇒グラミン銀行は今年2月までの累計で、700万人に総額7000億円を融資。実質金利は10%で返済率は97%、借り手の97%が女性・・・とのことです。
by c_mann3 | 2010-09-16 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)
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