◆シーア派イスラーム・・・

ところで前掲記事の本、井筒さんの「意味の深みへ」には「シーア派イスラーム」といった章があり、日ごろ新聞を読んでいてもイメージのつかみにくいスンニ派とシーア派について、同じイスラムの中で分離して行った経緯や両派の特徴がくっきりと描かれています。

一口で言ってしまうとムハンマド亡き後の後継者選びをめぐって二手に分かれてしまったということなのですが、問題はムハンマドがイスラム共同体の宗教のみならず政治的にも最高主権者であったこと。
で、そんな全能の後継者は望むべくもないとコーランに基づく実務的な政治能力を重視して選ぼうとする現実路線のスンニ派と、ムハンマドの聖性的なものを引き継がなければ意味がないと血筋にこだわるシーア派に分離し対立してくことに・・・

この二派のせめぎあいの中でムハンマド亡き後の最初の三代はスンニ派に、その後の四代目からやっとムハンマドの娘婿アリーや孫へと引き継がれるのですが・・・
まずそのアリーは暗殺で倒れ、次の五代目にはスンニ派の横槍が強く、ついには政治権力を支配するスンニ派の後継者(カリフ)と聖性を担うシーア派の後継(イマム)が並存する政教分離状態に。それではならじと次の六代目はわずかな手勢でスンニ派の大軍に勝ち目のない戦いを挑むのですが、あえなく玉砕。

こうした中で苦難の道に耐え、聖性的なものを守るためには聖戦をも辞さないシーア派の特質が色濃く形作られていったのだと。

それでもシーア派の後継者イマムの系列は続いていくのですが、アリーを起点に数えたイマムの12代目が就任後突然この世から姿を消し以降は空席のまま。そしてこのイマムがいつの日か救世主として再びこの世に現れるというのがシーア派のなかでの十二イマム派ということのよう。

どうやら宗教性の強いシーア派の中でもさらにその色合いが濃いのが十二イマム。そうした中でイスラエルやアメリカに対立し、ますます主張を強めるイランは十二イマムを国教とする国・・・となるとイランはそう簡単には屈しない!?

それにしても井筒さんの本は文章というか文体がすごい。こんな難解な内容で古めかしい漢字の熟語と聞きなれないカタカナのオンパレードなのに、声を出して読みたくなるようなしなやかな文体と切れのよいリズム。
読んでいると内容を追っかけるのを忘れてしまいそうにさえなりますが、実はこの本を読もうと思ったきっかけは「言語アラヤ識」に・・・・ですがその話はまた稿を改めてということで。(2008.7.17)
by c_mann3 | 2006-10-10 00:00 | ユングのすそ野の 風景 | Comments(0)
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