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◆図表にして見る電力状況の推移

図表にして見る電力状況の推移

この記事は数字の羅列で分かりにくいエネ庁統計や、断片的に流れる原発再稼働のニュースを図表化することで、電力情勢の推移が掴み易くなれればと設けたもので、都度更新します。なお図表はクリックすると拡大表示されます。

2019.4.15 新電力kWhシェアの推移

ここでは新電力のkWhベースのシェアを全国合計と目立った動きのあるエリアの推移グラフとして表示しています。
H31/1月度の統計値が出ましたが、高圧の北海道と北陸を除くと新電力の伸びの頭打ち傾向が続いており、全国合計で見ると特高高圧は16%、低圧電灯は12%の近辺で足踏みが続いています。(なお高圧のシェアには季節変動がみられ、通常7、12月のシェアは高めに、4、9月は低めとなります)
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2019.4.9 ◆低圧・電灯、新電力へのスイッチング推移

3月末のデータで図表を更新しました。ここでは電力広域的運営推進機関の情報に基づき、低圧・電灯市場における“電力会社間の切り替え数の推移”をグラフ化していますが、本年度は切り替え率が18%を越えたところで終了となりました。
この2,3月は通常の月35万件の切り替えペースから月45万件へと急増していますが、これは年度末特有の一時的な現象かもしれません。
当初はこのグラフがそのまま新電力への切り替え推移を表していたのですが、ここにきてこの数値に含まれる旧電力への巻き戻し切り替えや、新電力同士の間での切り替えが無視できなくなってきています。(しかもこの数値には500kW未満の高圧顧客の切り替えも2~3%分含まれているらしい)
よって電力ガス取引監視委員会のデータも併せて参照し、実質的な新電力への移行分の推移を赤点線で重ねてプロットすることにしました。
結果、両者のギャップは12%で、H31/1月末の新電力の実低圧顧客は887万件となっています。
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2019.3.25 ◆ソーラーのkWとkWhの推移

エネ庁統計でH30/12月度のソーラー発電電力量は前年同月比108%の36.1億kWhと出ました。
ですが、直近1年の前年比等から推定すると、今年度の年間発電量は前年比17%増の660億kWh程度と見込まれます。 (ソーラーの設置容量グラフは半年毎の更新です)
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2019.3.2 原発再稼働の現況と見込み   《現在9基が稼働》

ここでは日々断片的に流れるニュースをもとに原発の再稼働の現況と見通しを図表化しています。
▼NEW 3/2 東海第二の再稼働日程は2023/1月を想定しているとのニュースが流れていますので、下のチャートを変更しておきます。

▼2/4 高浜1、2号機、美浜3号機の安全対策工事の完了日程がそれぞれ2020/5月、2021/1月、2020/7月へと、6~10ヶ月ほどの延期となりました。これにより稼働基数が二桁台の10基となるのは2020/7月以降となります。
▼01/12 女川1号機に続いて玄海2号機が廃炉の見通しとなりました(その後2/13決定との報が・・・)。これにより再稼働の審査請求をするか廃炉かが未決定なものは9基で、廃炉見込みが24基となりました。
▼11/7 高浜3号機が稼働を開始しました。これにより来年の5月上旬に大飯3号機が点検停止するまでは稼働基数が9基となります。
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by C_MANN3 | 2014-10-19 04:15 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

◆春を迎えて、連日続くソーラーの抑制

【2019.4.5】 ここしばらくは連日のように九州エリアのソーラーの抑制が続いています。昨年の10月、始まった当初は抑制は当面は特定の季節の土日程度で収まるのではと思っていたのですが・・・春を迎えた三月に入って以降は予想とは異なり、土日の枠を超えて平日にも頻繁に抑制が続いています。

昨年の4月、5月にはエリア需要に対するソーラー比率が80%近くになっても受け入れられていたはずなのにこの一年で一体いかなる状態変化が起こっているのか。その様子が気になり、公開されているエリアの1時間ごとのデータをもとに分析してみました。

▼まずは抑制のひっ迫度を指標化
先ず毎日のソーラー最大点におけるエリア需要、火力、水力発電、揚水動力への回避等の各データを使って抑制せざるを得なくなるひっ迫度をいくつかの指数にしてみました。

 ・ひっ迫度A=ソーラーの最大点値/(その時点のエリア需要)
 ・ひっ迫度B=ソーラーの最大点値/(エリア需要から原発、バイオ等の絞れない
                   ものを除いたもの)
 ・ひっ迫度C=ソーラーの最大点値/(エリア需要から絞れないものを除き、それに
                   揚水回避、エリア外への退避を加えたもの)


ひっ迫度Aは最も基本的な指標ですが、実際は原発、バイオ発電等、ソーラーが増えても絞れないものがあるため、それを減じたもので除したのがひっ迫度Bであり、原発が稼働し始めるとこの指標は急増します。ですがこの指標が100%を越えてもそれで抑制に至るわけではなく、揚水動力、エリア外への送電でひっ迫度を減じることができるため、それを加味して指標化したものがひっ迫度Cです。

▼ひっ迫度指標による分析の結果
その上で実際に抑制が行われた日のABCの指標値を突き合わせてみると、実際に抑制が実施された日にはひっ迫度Cの値が70%近くまで上がっていることが判明しました。そこで今回は68%を越えた日を抑制予測日として月ごとに集計すると、実際の抑制実施日数とほぼ合致する結果となりました。

以上の結果を指標値の推移と共に各月の抑制日数とともにグラフにすると下図のようになりました。各指標は各月の平均をプロットしたものであり、例えばひっ迫度Cは雨の日も曇りの日も含めた平均であるため、この平均値が40%を越えたあたりから抑制日が増え始めます。
その上でこの図を見ると、ひっ迫度Cが特に2018年度の後半あたりから大きくなっており、対前年比でみると20ポイントもの上昇を示しています。この変化は、併せて図示している原発の稼働台数増大と、図示はしていませんがソーラー自体が前年比15%程度増加し、逆にエリア需要は5%程度低下していること等が重なって表れたものと思われます。
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▼これを使っての3~6月の予測
ひっ迫度Cの指標で抑制日数がほぼ見通せることが判明したため、3~6月の予測をしてみました。なおその際に使う1時間ごとのエリアデータには前年同月のデータをもとに、エリア需要、ソーラー発電量をこの半年間の前年同期比で修正したもの使っています。こうして得られた予測結果ではグラフの右上端に表形式で記載しているように向こう3ヶ月の抑制日数が4月に20日間、5月が13日間、6月で6日間となりました。

以上はラフな試算結果であり、実際の抑制日数がこの試算よりも低く推移するならば、それに越したことはないのですが、まずはこの試算結果を手元に置きながら、ソーラー抑制の山場であるゴールデンウイークの推移を見守りだと思います。
《期待される原発の運用見直し》
抑制日数とともに、もう一つ気になるのがkWhベースの通年の太陽光発電抑制率です。今回併せて試算してみると、抑制が始まった昨年の10月から今年の9月までの最初の1年間のkWh抑制率予想は3.6%と出ました。これは補償が無ければ即、発電事業者にとっては利益率が3.6ポイント下がることを意味しています。

ソーラーの機動的な抑制は更にソーラーを受け入れるためには必須の措置であるとしても、犠牲は少ないに越したことはない。やはり別掲の記事でも提言しているように、原発の運用を見直し、点検停止を抑制のハイシーズンに持ってくる等の配慮はあっても良いのではないかと思います。試に試算してみると、この4月、5月にもし原発2基が点検停止するならば、両月合計の抑制日数は33日間から19日間へとほぼ半減します。ソーラー先進地の九州電力ならではの叡智に期待したいところです。

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by C_MANN3 | 2014-10-19 04:05 | Comments(0)

◆エネルギー情勢への寸感・・・

◆追記コーナー:エネルギー情勢への寸感・・・◆

最新追記:4/3

 毎日流れてくるエネルギー関連のニュースを前にして思わずつぶやきたくなることもしばしば。そういう時はtwitterでとは思うのですが・・・中には140文字では呟ききれないものもあり、そうしたものを書き連ねて行ければと、この追記コーナーを設けてみました。【H28.5.20運用開始】


2019.4.3 ◆2019年度のFIT負担は前年比微増に・・・

2019年度のFITの各種単価が決定されたようで、ソーラーの買い取り単価が住宅用で2円、事業用が4円の減額となり、各家庭等が負担する賦課金単価は2.95円/kWhと発表されました(経産省リリース)。

賦課金単価は前年比で1.7%の微増にとどまり、FITの買い取り費用から回避可能費用を減じた実質の国民負担額は2兆4287億円となるとのこと。金額としては大きいですが前年比では2.4%の増であり、ここ数年の増加率から見ると今年は緩やかな様相です。

この様子をここ数年の推移としてグラフ化してみると下図のようになりますが、毎年買い取り単価が減額され、さらには今年から住宅用ソーラーの卒FITが始まることもあり、懸念されている国民負担の膨張は当面は緩やかに推移するものと思われます。
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2018.11.7 ◆東海第二の延長稼働が認可に・・・

今日は原発関連のニュースが重なりました。ひとつは高浜3号機が稼働を開始し、これで9基の原発がそろい踏み。この状態は大飯3号が点検停止する来年の5月まで続きます。

そしてもう一つは、何と東海第二の延長申請が認可されてしまいました。ほんの数か月前までは審査資料も整わず、安全性の対策工事資金のめども立たずで危ぶまれていたはずなのですが、ここにきて一気に再稼働の認可、延長稼働の認可と期限間際の滑り込みゴールインです。原電が廃炉のみを抱えて発電しない会社となってしまっては何かと不都合ということなのか、この追込みには業界や官のバックアップがあったのではと思わせます。

それにしてもこれで延長認可は4基、申請すればすべて通るというのでは、もはや原則40年のルールは原則60年にすり替わってしまった感がある。だとするとこれから新規に稼働するかもしれない島根3号等も60年稼働することになり、日本から原発がフェードアウトするのは2080年代ということになってしまいます。
なし崩しに日本が元の黙阿弥の原発列島にならないよう、少しでも多くの廃炉基数を積み上げるためにも、後は地元不同意に望みを託すしかないようです。

2018.7.1 ◆関西電力が原発稼働益で値下げ・・・

今日から関西電力は更に2基の原発が稼働を開始したことを理由に再度の値下げに入りました。ですが新電力として受けて立つ大阪ガスは即対抗値下げし、東京電力も関西圏の顧客には値下げで防衛。とりあえず顧客としては有難い話ですが、電力会社によるガス顧客の逆取り込みとも相まって、電力・ガス市場の競争はますます激しくなりそうであり、今後の新電力がどこまでシェアを伸ばせるかも気になるところです。

実は新電力がシェアを伸ばせば旧電力は原発を稼働させても出口を失う、原発が安い電力なら火力代替のメリットもあるが、安全性審査が進むにつれて膨れ上がる安全対策費を考えるとトータルではもはや安い電力ではないはず。つまりは新電力が伸長することは原発再稼働への抑止にもなるなどと素朴な期待もあって注目をしているのですが・・・
事はそう単純でもないようで、原発は回そうとすると安全対策費、止めれば廃炉費用といずれにしても金はかかる。だがそうした費用は別勘定として原発を稼働させれば目先の燃料費は大きく削減される、まずはその効果を使って足元の新電力との競争に勝ち抜くことが先決ということなのかもしれません。

ただ原発稼働を原資に値下げと言われると不思議な気はします。既に総原価方式が意味を失いつつある中で、その別勘定は一体、いつどこに吸収されるのかなどと・・・

2018.6.2 ◆軒並み行き詰る原発輸出・・・

東芝が米、英で進めてきた原発の建設受注から撤退するとのニュースが流れています。三菱が推進するトルコ原発ではパートナーの伊藤忠が参加を見送るとのことであり、英国で原発を推進している日立も採算懸念で、撤退も視野に入れて英国政府に支援の見直しを要求しているとのこと。

安倍政権が政策の目玉としてる原発の輸出は軒並み暗雲が立ち込めている。“原発事故国だからこその世界一厳しい安全基準”が売りとのことですが、その世界一厳しい基準が建設コストを倍増させ、採算を損ねているとするならば、何とも皮肉な話です。

ですが、ここで政権に忖度し経営判断を曇らせると東芝の二の舞にもなりかねない。せっかく忖度しても行き詰れば何の援護射撃もないといったニュースで溢れている昨今、ここは曇りのない経営判断だけが身を守るすべですよね。

2017.12.21 ◆大飯原発1,2号機、延長せず廃炉に・・・

40年を間近に控えた大飯原発1,2号機を延長申請せず、廃炉にとのニュースが流れています。
原発が命の最大の強行再稼働派のはずの関電が決心したというのが画期的です。延長再稼働では安全対策費が大きく、しかも再稼働しても需要は新電力に奪われて細る一方・・・つまりは損得がらみの決断なのでしょが、これがきっかけになり各電力会社の廃炉決心が一挙に加速することを願いたいですね。

2017.12.10 ◆更新されなくなったFIT統計・・・

 この四月以降、エネ庁の「固定価格買取制度情報公表ウェブサイト」が全く更新されなくなってしまいました。従って今年に入ってのソーラーの新規導入容量や買取電力量は不明のままです。そこで同じエネ庁で昨年から始まった別の統計を基にソーラーのここ数年の推移を 別コーナーでグラフ化 し、定期更新することにしました。

2017.5.16  ◆我家でもやっとスマートメーターが・・・

 先月、我が家もやっとスマートメーターに切り替わりました。それを記念して?本日、電気料金のメニューを同じ電力会社内の自由料金メニューに切り替えました。これで3%強料金が安くなるとのことですが、この5~6年で25%を越えて値上がりしていたことを思うと、この程度の値下げではほんの申し訳程度といったところです。
 それよりもスマートメータになって毎日、前日の電力使用の1時間グラフが見えるのが面白い。数日家をあけたりすると我が家の待機電力が判明します。また寝付けない夜、諦めて夜中に起き出しパソコンを覗いたりすると、そうした不健康な生活の痕跡もばっちりグラフに残ります。

2017.2.14 ◆思わぬ形で脱原発が進展するかも・・・

東芝が昨年末の時点で債務超過に・・・”とのニュースが流れています。常に先進的な技術で時代を切り開く、日本が世界に誇れる企業だと尊敬の念を持って眺めていた東芝が、原発事業の不振とその損失隠しでついに会長が辞任。このまま推移すれはこの期末は債務超過が濃厚とのこと。
残念なニュースではありますが・・・これがきっかけで思わぬ形での脱原発が進展する可能性も・・・メーカーと言わず、電力会社も含めて、原発にこだわれば窮する。あちらこちらの企業の経営判断の場で、脱原発の話が通り易くなるのではないかなどと・・・ふと。

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by C_MANN3 | 2014-10-19 04:03 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

◆日本の電力構造、この二年間の変化

【2019.1.30改】 本稿はH30年度上期の電力事業者統計が出た時点で仮掲載していましたが、追っかけて1000kW以上の自家発電所の統計が出ましたので、再集計しあらためて掲載いたします。

日本の電力構造のこの2年間の変化を上期の年次推移としてとりまとめてみました。上期の年次推移では年間データを待たずに半年早く変化を見ることができるのが取柄です。
なお今回はこの2年間の増減を“換算年率”と“稼働率80%の原発に換算した基数”で表末尾に表記しています。また各表は表をクリックして頂くともう少し大きい字で見て頂けます。

《電力需要》 ここでは本表の総計ができるだけ日本の全体をカバーしたものとなるように、特定供給、自家消費の項目には1000kW以上の自家発電所の値も合算しています。
総需要は年率1.8%で微増していますが、それを自家発電の増大と、新電力の伸びがカバーする構図となっています。新電力の販売シェアは高圧、低圧の合計で14%と着実に増加傾向を示していますが、低圧が順調に増加しているのに対して高圧市場では旧電力の巻き返しが激しくやや伸びの鈍化がみられます。
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《発電電力量》
 旧電力は販売が年率3%の下落をしているにもかかわらず、発電の下落は1%未満と軽微です。これは旧電力の電力が新電力経由で販売されることで規模が維持されていることを示唆するものです。
燃料種別で見ると原発、ソーラーの伸長のしわ寄せが石油の激減とLNGの4.2%減となって表れてるようです。なお石炭はほぼ不変です。
《低炭素化》 原発はいまだ4.6%に止まっています。対して“水力+新エネルギー”はソーラーの伸長で既に19%まできており、政府の2030年目標に対してもう一歩の所に迫っています。また化石燃料比率も66%まで下がっていますがこれには原発再稼働の効果も含まれているのが残念なところです。
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《発電設備》 この表では原発を除外して集計しています。原発を除外すると旧電力は原発3.2基相当分の設備を減らしていますが、一方で新電力事業者が4基相当分の上積みをし、自家発電設備も原発5.3基相当の増となっています。
《設備稼働率》 全設備の稼働率は半年間の総平均で45~47%近辺を推移していますが、区分別では旧電力の設備と新電力事業者の設備で稼働率に5ポイントの開きが出ています。旧電力では原発の稼働とソーラー受入れで火力の稼働率が低くなっているものと思われます。また燃料種別で見ると石炭がベースロードとして安定稼働しているのに対して、LNG火力は需給調整として扱われているためか、石炭より低い稼働率となっており、その差がさらに広がりつつあります。
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なおこの全設備量は夏の最大需要の1.63倍に上る規模であり、これを稼働率に換算すると62%となります。となると残の38%が余裕ということになります。この値から概略設備点検等による計画停止の10%と送電ロスの5%を差し引いたとしても実質余裕としては23%程度が残ります。つまりは原発を除外しても真夏の最大需要は乗り切れるということであり、すでに“夏の最大需要を乗り切るためには原発が必要”との論は成り立たなくなっていることを示しています。

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by C_MANN3 | 2014-10-19 01:30 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

◆ついに始まったソーラーの抑制

【2018.10.21】 ついに九州エリアでソーラーの抑制が始まりました。エリア需要が700~800万kWに下がる需要低迷期に400万kWの原発が横たわれば、600万kWのソーラーを受け入れることは土台無理な話であり、8月に九州エリアで原発が4基動き始めた時点で、この秋に抑制が始まることは予測された状況ではありました。

b0050634_2313409.jpgそしていざ始まると予想通りソーラーの普及を阻害するものだといった論評が出回っていますが、逆にソーラーの抑制は今後さらにソーラーを受け入れるためには避けて通れない道。オープンな情報開示と公正なルールの下、機動的に秩序だって限られた日数、時間帯で最低限度の抑制がおこなわれるシステムが構築され、かつしなやかに運用されることは今後のソーラーの増大にとっても不可欠です。

その抑制の最初の4日間の様子を九州電力のホームページのでんき予報のグラフや公開情報を基に図表してみると右の図のようになりました。図中の赤点線は抑制の様子が分かり易いように、抑制がなかった場合のソーラーを九電公表の値を基にして書き足したものです。
今回は揚水動力に180万kW、広域連系線に190万kWを退避させた上で、それでも余剰になったソーラー40~90万kWを抑制したものであり、抑制率は平均で11%となっています。
広域連系線への退避が現時点の有効な抑制低減の手段であることは確かですが、今後近隣の他のエリアでも九州エリアの後を追って原発とソーラーで溢れかえることになれば、大量の退避は望めなくなります。
 
▼原発の運用にも見直しの余地はある・・・
原発の再稼働基数とソーラーはこれからも競い合うように増加する。鳴り物入りの広域調整にも限りがあるとなると“原発を好きなだけ稼働させておいてソーラーを抑制するのか”との声が日増しに大きくなることは必至。原発の大量稼働が、今回の抑制がこのタイミングで始まった直接のきっかけであることは確かであり、今後は原発を止めるとまでは言わなくても運用を見直すことは必要ではないか。

たとえば、現在の原発は概ね13ヵ月稼働の3ヵ月点検停止で16ヵ月のサイクルで運用されていますが、これを15ヵ月稼働の3ヵ月点検停止で1.5年のサイクルで運用するなら、毎回の点検停止を4、5月と10、11月に循環固定することができて、需要低迷期のソーラー受入れに余裕ができる。これを九州エリアに適用し、4基の内2基ずつを季節をずらせて稼働させるなら、毎回200万kWの抑制回避が可能となる計算です。
原発を止めるわけではなく、むしろ稼働率が若干にしろ向上する話であり、原発ありきの人たちにとっても損は無いはずなのですが・・・どこからもこうした歩み寄りの話が聞こえてこないのが不思議というか、残念です。

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by C_MANN3 | 2014-10-18 10:21 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

◆ゴールデンウイークのソーラー 2018

【2018.5.5】 今年も年間で電力需要が最も低くなり、ソーラーの受け入れが困難となるゴールデンウイークがやってまいりました。
そうした中で九州電力のみは日々の“でんき予報”でエリア需要とソーラー発電を併せたグラフを公開してくれており、その様子がリアルタイムで見て取れます(左図)。

結果として今年のエリア需要に対するソーラーの比率が最も高くなったのは5/5の12時台で、ついに83%をマーク。一昨年が69%で昨年が73%だったので、年々厳しくなっていることが良く判ります。
そうした状況で最大限のソーラーを受け入れるための手立ては、昨年の右図にもあるように、まずは火力の抑制、そして揚水発電の揚水動力への退避と、さらに広域連携線を使っての他エリアへの放出ということになります。ただ今年は原発の稼働が昨年より1基少ないタイミングだったことが多少の救いとなった可能性があります。

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ところで右図の昨年の4/30は、九州電力が“ソーラーと九州電力の総発電量との比率が73%で最大だった”と発表した日なのですが、エリア需要に対する比率は実は69%でした。この差は比率を算出する分母に新電力の発電を含むか否かの違い。そしてこの差が今後の一つのポイントとなりそうです。
ソーラー受入れのために火力を絞る際、自前の火力は任意に絞れますが、他社である新電力の火力は一存では絞れない、つまり新電力のシェアが大きくなるとソーラーの受入れにとっては阻害要因となりかねない。

ともあれ(たぶん)無抑制で80%をも超えるソーラーの受け入れを達成したことは九州電力ならではの快挙ですが、来年はさらに厳しい状況となりそうです。
来年はソーラーがさらに増え、新電力のシェアも増える。そしてなによりゴールデンウイークのころには九州電力の原発は4基動いている可能性が高い。しかも広域連携線で放出しようにも今までそれを大量に受け入れていた関西電力でもたっぷり原発が動いていて大量の受け入れは期待できないかもしれない。

となるといよいよソーラーの出力抑制や新電力への火力絞りの協力要請ということになるのでしょうが・・・“自分の所で原発をフル稼働させておいてそれは無いでしょう!”との声が上がることは必至。どうやらソーラーをさらに増やしていくためには来年が一つの山場となりそうです。

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by C_MANN3 | 2014-10-18 05:05 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

◆原発事故から丸七年の節目を迎えて

【2018.3.11】 震災の日から丸七年が経過、今年もテレビでは数々の特集番組が流れていますが、今回は降って湧いた森友学園の決裁書改ざんのニュースで注目がそがれてしまった感があります。

ですが、この一年もまた、日本の電力事情は一段と原発不要の状態へと進化を遂げています。ソーラーはさらに増加し、前年比120%を越え年間kWhで570億kWhとなりそうです。結果として全電力量に占める割合は上期で7%を超え、水力を併せた再生エネルギー比率は17%に上ります。
また各エリアで新電力へのシフトが進展し、この期末には高圧、低圧を合わせた合計値で新電力シェアが13%となり、いくつかのエリアによっては20%近い数値となり、もはやあえて原発を稼働させる必要はなくなりつつある・・・

にもかかわらずこの一年は、次々と安全基準の審査が終了し、一時期は5基の原発が稼働。この3/11時点では裁判所による稼働差し止め、神鋼のデータ改竄の余波による点検期間の長引き等が重なり3基に止まってはいるが、今後は一斉に動き始め、2018年度の後半では9基、2021年度には14~5基が動く勢いです。
このあたりで何がしかの歯止めがかからないと日本列島は過半の民意とは裏腹に、あっという間に元の木阿弥の原発列島に戻ってしまいそうです。

立憲民主党が原発ゼロ法案を国会に提出するとは言っているが、審議はされそうにない。まがりなりにも「できるだけ原発依存を減らす」のも政府の方針なら、それに向けての工程表を出すべきであり、そのタイミングは正に「今でしょ!」とは思うのですが、現政権にその気はなさそう・・・

そうした中で一人、小泉元首相だけが声を大にしてくれています。曰く、現政権には期待できないが、その次の政権が脱原発を宣言すれば世間は動くと。たしかに良いタイミングで、日本が世界に向かって矜持を取り戻す最後のチャンスになるのかもしれません。その時抵抗勢力は一部の凝り固まった学者、政治家、評論家だけで、即時停止はともかく一定の時間をかけた脱原発への工程なら、実務を背負った電力会社の抵抗はあまりない可能性もある。

既に各電力会社とも、金をかけめどの立った原発を動かしたいのは致し方ないとしても、さらに金をかけて再稼働したり延長したりする損得の見極めは1基ごとについているはず。それを口に出さないのは情勢次第の様子見もあるかも知れないが、意外にどこかへの忖度なのかもしれません。
すでに、何が何でも延長再稼働派と目されていた関西電力が採算を理由に大型炉2基の廃炉を表明し、四国電力も1基の廃炉を決めました。よってこれで最初に廃炉の口火を切ってとやかく言われることもなくなりました。各社がこれに追従し、見極めを早め、まずはその結果を公にしてくれるだけでも日本の原発のこの先の見通しは霧が晴れるというものです。

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by C_MANN3 | 2014-10-18 03:11 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

◆日本の電力構造、この一年の変化

【2017.12.31】 自家発電統計を含めて、エネ庁のH29年度上期の電力統計が出そろいましたので、前年上期対比として、この一年の変化を探ってみました。
 なお今回は各項目のこの1年間の増減を全て、原発の基数に換算して表記してみました。つまり発電設備なら100万kW単位、電力量は原発1基が半年間稼働した場合のkWhを1単位としたものです。

単なる数字の羅列でイメージの掴みにくいエネ庁統計ではありますが、まとめて図表化してみると以下のような傾向が見て取れます。

▼まずは総需要と新電力のシェア

昨年の完全自由化で動きが本格化している新電力は高圧、低圧ともに順調にシェアを拡大しており、H29年上期の平均で低圧でも6%、低圧高圧の合計では11%を超えるシェアを確保しています。
結果として旧電力は自家消費等を含めた日本の全電力需要に対する割合が84%まで落ち込み、この1年間で原発3.4基分の電力需要を喪失しています。
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▼そして発電電力量の構成変化

 エネ庁の発電統計を使うと日本の発電を①"旧電力"、②販売を目的として1万kW以上の発電設備を有する"発電電気事業者"、③それ以下の規模の"その他の勢力"に区分して見ることができます。“その他の勢力”とは送電会社が受け入れる電力の内、旧電力を含めた電気事業者以外からのものを指しているのですが、つまりは千kW以上の自家発電設備の内の外販部分、それにさらに小規模分散の発電設備の内FIT対象の電力等ということになります。
それを踏まえて下表を見ますと、旧電力がほぼ身内の電源開発を含めてもその発電シェアが68%と、既に70%を割り込んでいることが注目されます。
続いて全発電電力の燃料別構成を見ますと、ソーラーが増え原発が動き始めたことで、石油とLNG発電がシェアを落としていることが見て取れます。なお石炭発電も微増しています。
原発が動くとLNGが止まる・・・あまり歓迎すべき構図ではありませんが、今後廉価なシェールガスの輸入割合が増えてきた場合に、この構図がどう変化するかが一つの注目点ではないかと思います。
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▼さらに発電設備の増減


 下表はこの1年半の間の電力事業者の発電設備の保有量とその構成の変化を示したものです。ここではソーラーが増大しているだけではなく、石油燃料の発電設備が減少する一方でLNGが原発3.1基分の増加と、ほぼ同量の入れ替えが起こっていることが注目されます。
b0050634_2055014.jpgただLNGは発電設備が増えているにもかかわらず、上の《発電実績》表ではその発電電力量が減少している。となると稼働率が気になりますが、上下の表から火力発電の稼働率を算出すると右表のとおりとなり、石油火力はともかくとしてLNG火力の稼働率が石炭より大幅に低く、かつこの1年でさらに下がっていることが気になるところです。高効率な新鋭火力発電設備は石炭、LNGともに今後も増設が続きます。そうしたなかで原発が稼働し始めると、せっかくの新鋭LNG火力の出ばながくじかれるというのは残念なことです。今後の電源種間のシェア争いはまさに注目されるところですが、できうれば新電力の台頭と相まって、新鋭火力の増加が不要な原発の抑止につながることを願いたいと思います。
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なお、この発電設備容量は夏の最大電力日に対してどの程度の余裕を持つものなのか・・・それについては別掲記事の「◆2017年夏、最大電力日のソーラー」で “日本の発電設備は既に夏の最大必要電力の1.40倍もある” との試算を行っていますので、併せてご参照ください。
日本の発電設備が既に原発はなくとも十分な設備余力を持つに至ったとなると、今後はむしろせっかくの新鋭設備の稼働率を如何に確保するかといったことが新たな課題になり始めるものと思われます。

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by C_MANN3 | 2014-10-17 12:31 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

◆2017年夏、最大電力日のソーラー

【2017.12.15】 今頃になって季節外れの夏の話で恐縮ですが・・・各エリアの電力需給の7~9月のデータが出そろった所で、この夏の最大電力日の様子を分析してみました。

▼先ずは最大電力日の抽出

結構手間のかかる地道な作業ですが、各エリアの7~9月の1時間刻みの電力需給データからエリアごとに最大日を抽出しました。結果は、エリアによって最大日の日時は(7月下旬から8月下旬、時間帯は14時台から16時台と)異なるものの抽出された最大値を合計すると、16,001万kW(昨年は15,975万kW)となりました。

▼そしてその日の様子

続いてその日の様子をグラフにしてみると、いろんなことが浮かび上がってきます。各エリア(電力会社)はその最大値に見合った発電設備を確保することになりますが、ソーラーと揚水発電を組み合わせて、その最大値を巧妙に引き下げている。そしてエリアによってはそこに原発が絡んでくる。
九州エリアを例にとると需要曲線の最も高くなるところをソーラーがカバーし、従来なら14時台にあった最大点を16時台にずらせ、かつ最大値としても7.6%(図中A)の低減を果たしている。さらにその新たなピーク点をめがけて揚水発電を稼働させ、合計11.1%(図中A+B)もの最大値のカットをしています。
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▼そこに横たわる原発

ただよく見ると原発が動いている。最大値を乗り切るためにはベースロードとして必要なのかと思ってよく見るとそれを上回る容量の電力を他エリアへの融通として放出していて、その状況は四国電力でも同じです。下表のように横の関連が見える一覧表を作ってみると、どうやらこれらの原発を回してまで作った融通電力は関西電力に流れている。
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となると・・・自エリアにとっては原発は必要ないが、他エリアのために稼働させている、つまり日本トータルとしては原発は必要ということなのか・・・
いや、それは解せないと、日本全体の電力事業者が保有する発電設備の統計から原発を除いた値を算出してみると、なんと23,196万kWもあり、単純に計算するとこの容量では日本全体の最大電力合計の1.44倍と超余裕の数値となります。そこでもう少し詳しく見てみることに・・・

▼では日本の夏の設備余裕はいかほどなのか

上掲の最大電力日のグラフを見て頂きたいのですが、まず前述の設備の内ソーラーは昼の14時近辺ではほぼ定格の威力を発揮しているものの、最大電力を担う効果としては図のAの部分に相当と考えるのが妥当。また別の統計によると電力事業者の発電電力はその5%程度が自家消費に回っているとのことで、その分も差し引く必要があります。それを踏まえると夏のピークの設備余裕は、
「原発を除いた設備容量からソーラー、風力を差し引き、更に自家消費の5%も除いたもの」を、「最大電力から図中のAを差し引いた点」で割るのが妥当、
そこで面倒な作業ではありますが、全エリアの“A下がった点の値”を算出しました。結果そのポイントの全国合計は15,054万kWで、ソーラーの効果を示す全国総計のAは5.9%となりました。そしてこの値を使って設備余裕を計算すると、“日本の発電設備は既に夏の最大必要電力の1.40倍もある”ということになります。

毎年夏が来ると各電力会社からは“設備使用率が96%を超えそうなのでもう余裕は無い”といった類の情報が出されてきましたが(実はこれはその日に稼働させている設備の定格出力に対する利用率)、この計算結果によれば設備全体としてはもっと余裕があるということになりそうです。
原発を除いても有り余る電力設備を持ちながら、それでも原発を回そうとする日本・・・あらためてそんな風景が浮かび上がってくる、この夏の最大電力の分析となりました。

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by C_MANN3 | 2014-10-17 12:15 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

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by C_MANN3 | 2014-10-01 00:00 |  エナジー & カーボン | Comments(0)